平尾霊園にて、棹石をカットして彫刻し直して神道式のお墓へ変更。土間部分の沈下も直し、安心してお参りできるお墓へ

こんにちは! 福岡県一円で、お墓のお仕事をさせていただいています、平尾石材店の寺田公平です。平尾霊園にて、棹石をカットして彫刻し直し、神道式のお墓へ変更しましたので、その様子をご紹介いたします!

 

施工前後のお写真

 

ご相談いただいた経緯とお墓の状況

今回のお客様は、平尾霊園にお墓をお持ちの方です。お墓は当店で建てさせていただいたものではなかったのですが、お参りのたびに霊園前にある当店の前を通られていて、今回お声かけくださいました。直接お店にお越しくださったので、その場でお話しを伺いました。

お客様のお困りごとは、お墓の正面文字のことでした。お客様は神道をご信仰なのですが、今のお墓は一般的なご家名の入ったお墓なので、もっと神道らしいお墓にしたいということでした。
お墓の正面文字を変える際の方法は、棹石を造りかえる方法と、もとある棹石の前面をカットして磨き直し、彫刻をしなおす方法があります。お話ししたところ、お客様は棹石の前面をカットする方法をご希望でした。

棹石の前面をカットする方法は、お墓の状況によってはできなかったり、かなり違和感が出てしまったりということもありますので、一度お話しをうかがった後、実際にお墓を見せていただくために現地へ向かいました。お客様もお待ち合わせをしてご一緒に見ていただくことになりました。

 

お客様の墓地は、この道を通った先にあります。霊園正面、管理事務所側から入って一番奥の方の区画、4区になります。

 

こちらが施工前のお墓です。1尺5寸ととても大きく立派なお墓です。きれいにお参りされているお墓でした。

 

ご相談いただいたご家名の部分です。これを変更されたいということでした。棹石の幅も46cmほどあり、大きくてしっかりと厚みがありましたので、これなら前面をカットしても違和感なく仕上げられそうです。

お客様のご希望もあって、このほかに、お墓に異常がないか等の点検もさせていただきました。

 

水鉢部分の家紋は、金箔が取れて薄くなってしまっています。神道のお墓ということで蝋燭立てを新たに作成するため、以前からあるお線香立ては今回処分することになりました。

 

矢印の目地部分は、ご家族様で修理をされた跡が見られました。お墓の石塔のクリーニングもご依頼いただいたのですが、それに合わせてこの目地入れもしなおして、全体的にきれいにすることになりました。

 

側面から見たところです。少し分かりにくいかもしれませんが、お花立てや線香立て、拝石が前に傾いてしまっています。地盤が少し沈下してしまっているために、お墓本体と拝石の間にも隙間ができてしまっています。

 

踏み石部分です。正面からですので分かりにくいですが、踏み石や拝石のあるあたりの横幅約2mほどが、全体的に緩やかに沈んでしまっていました。コンクリートで基礎を作る現代のお墓とは違い、昔作られたお墓なので、土でかさ上げした土間部分の土が経年で締まったために沈下していたのではないかと考えられます。このままですと納骨室内に水が浸入したりする可能性もありますので、こちらも直すことになりました。

工事の方は大きくは、棹石の磨き直しと彫刻等のお墓本体の作業と、地盤の沈下を直す工事になります。それぞれお客様とお話しして進め、完成したのがこちらです!

 

完成です!

黒っぽい色合いの石に、白い文字がくっきりと映え、シンプルながらも高級感のあるお墓に仕上がりました!

 

正面文字部分です。以前のご家名から、「○○家 奥津城」という、神道の彫刻にしなおしました。工場へ持ち帰った棹石を、文字部分を含む石の前面をカットして磨き直し、そこへ新たに彫刻を施して色を入れます。側面や背面も、合わせてきれいに磨きました。

 

亡くなられたご家族様のお名前を、側面に追加しました。霊標をお作りするという方法もあったのですが、広さのある側面への彫刻となりました。お客様のご希望で、向かって左側面に彫刻しました。前面をカットしてもこれだけの厚みがあり、全体的なボリュームや他の部分との違和感も感じません。

 

家紋部分です。棹石の彫刻に白い色を入れましたので、家紋部分も白色をいれました。はっきりと見えるようになって、すっきりとした印象です。

 

もともとお線香立てがあった場所に、笠つきの蝋燭立てを新しくお作りして設置しました。風があるときも蝋燭が消えにくいように防風筒もついています。

 

土台部分は手前にスライドできる仕組みにしました。蝋燭を交換したり火をつけたりしやすいように工夫しています。

 

クリーニング後は防水シリコンで目地を養生しました。見た目もきれいにすっきりしましたね。

 

前方に傾いていた石もしっかりと据え付け直し、お墓本体との隙間もなくなりました。一度上の踏石などをすべて取り外し、その下にしっかりとコンクリートの基礎を打っています。

 

沈下していた部分を直した後、踏み石、お花立て・拝石を設置し直しました。玉砂利も、不足していた分を追加して敷き直しました。全部で200kgほど追加しています。水の浸入などの心配もなくなり、安心してお参りいただけるお墓になりました。

 

工事を終えて・・・

お客様は長いこと気がかりでいらっしゃったそうで、今回の工事でホッとされたようでした。当初はお墓をすべて作り替えないといけないと思われていたようで、費用もかかるのでは・・・?と心配されていたようですが、石塔をカットして彫刻をしなおすという方法で違和感なく仕上げることができ、「こんないい方法があったんですね、知らなかった!」と喜んでいただけました。お客様ご希望に沿った的確なご提案ができて、喜んでいただけてよかったです!

今回のようにお墓についてお悩みのことがあっても、一般の方の場合はお墓についての特別な知識をお持ちではないので、考えられる方法も限られると思います。その点、様々なお墓を見てきたプロの立場から見ると、実はたくさんの選択肢があるという場合もあるのです。ただ、決して一方的にご説明するのではなく、具体的にお悩みの点を伺って、お客様のご要望に沿った選択肢をできるだけ多くご提案し、その中から選んでいただくということは、私どもの仕事の中でとても大切なところです。今後も変わらず、丁寧にお話しをうかがって、的確なご提案ができるよう励みたいと思います。

 

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